せっかくリフォームするなら窓の大きな部屋にしたい

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中古マンションの仲介業をしている私は、長年、高いヒールを履いて働いてきたため、外反母趾が悪化し、最近はかかとが低くやわらかい、コンフォートパンプスしか履けなくなってきた。それでも足が痛いから仕事を辞めたいと思ったことは1度もなく、契約が成立した時のお客さんの笑顔を励みに、毎日精一杯力を尽くしている。今1番力を入れている物件は、若いご夫婦の公園そばのマンションだ。

約50平方メートルで3DKの小ぶりなマンションだが、ここの奥さんが偉い。初めて物件を見に行った時は、家具がごちゃごちゃと置かれていたから、少し整理をして部屋を広く見せる工夫をした方がいいとアドバイスをした。すると次に行った時には、すぐに片づけ可能なちゃぶ台や食器棚等わずかな家具を残して、あとはリサイクルショップに引き取らせて、かなりすっきりした部屋に変わっていた。公園に面した窓ガラスはピカピカに磨かれ、内覧に来た人に部屋を明るく見せる努力をしていて、出窓の窓ガラスは全て開け放し、風通しの良さもしっかり演出していた。これだけ努力してくれるのなら、あとは良いお客さんを私が連れてくるだけだ。

ところがすぐに見に来た売主よりも若い夫婦は、現実実のない話ばかりして、本当に購入する気があるのか疑問だ。マンションなのに、せっかくリフォームするなら窓の大きな部屋にしたいとか、お風呂を丸ごと取り替えるとか、マンション価格以上にリフォーム費用がかかりそうな話ばかりしている。北側の出窓の窓ガラスを、ステンドグラスに替えるとか、玄関の壁全体に鏡をつけるとか、マンションを購入する前に、夢の段階の話で盛り上がっている。こういうお客に限って買わないことが多いので、私はこのお客はあてにせず、すぐに次のお客さんを連れてこられるよう、会社に戻ってチラシの準備を始めた。